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25 ◇下心

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2026-01-04 18:55:21

「ねえ、聞いてもいい?

 私が病気の時、独身男性と2人きり

介抱されてた痕跡の残る部屋で……

寝具を敷いている部屋のすぐ側で……

食事しているところに帰ってきて、その様子を見たとして、

あなたなら何も感じないでいられるの?

しかもあなたの来訪は決まってたことじゃなくて、予想外のものなのよ?」

*

「病気で助けてもらってたのなら、納得できると思うが?」

「そっか!じゃぁ感性の違いっていうヤツだからしかたないね。

 私は母から聞いて納得できなかったから」

「納得できないって何だよ。

 普通説明されたら納得するだろ?」

「あのね、それでなくてもあなたには疑われてもしようがない

前科があるのよ。

 今まで潔白できていたならいざ知らず、前科者ならもっと気を引き締めて

行動しなきゃぁ...いけなかったんじゃないの?

 単身先の一室で男女がふたりきり。

 これだけでOutなの。

 家に長時間上げるなんて、私からしたら信じられない行為だわ。

 起きて食事できるくらい身体だって快復に向かってたのなら、

玄関先で帰ってもらえばよかったのに。

 下心があるからあなたは部屋に入れたのよ」

*

「そうじゃないっ。

 前日も来ていろいろ世話になってたし、次の日だって何か

俺の手伝いをと思って時間とって来てくれてるのが

分かっていて、無下に玄関先で帰せるわけないじゃないか。

 どうしてその辺りの機微を理解しようとしてくれないんだ。

 疑って責めるばかりしておかしいだろ?

 それにお義母さんが来た時、俺たちはうどん食ってただけだぞ?

 何でそこでおかしな関係に結びつくんだよ、妄想もいいとこだ。

 病気だったんだ。

 その君の思ってるような男女の仲になるわけないだろ。

 想像力逞し過ぎなんだよ。

 TVのメロドラマの見過ぎなんじゃないのか。

 世の中そうそう、浮気なんて存在しないんだよ。

 こんなに責められて、おまけにとっくの昔に籍まで……

抜かれてたんなら、赴任先で彼女の一人でも作っとくんだった」

 将康は怒気の籠った言い方で由宇子に嫌味を放った。

「今更だよ。

 そんな芝居しても駄目。

 とっくに居るクセに。

 私は邪魔しないからどうぞその女《かた》とお幸せに!」

 
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